- 2006-11-12 (日)
- 映画
クリント・イーストウッド、「父親たちの星条旗」を観てきた。
「ミスティック・リバー」「ミリオンダラー・ベイビー」の巨匠クリント・イーストウッド監督が、太平洋戦争で壮絶を極めた硫黄島での戦いを、アメリカ側、日本側それぞれの視点から描く2部作の第1弾。硫黄島の擂鉢山に星条旗を掲げる6名の兵士を写した有名な戦争写真の裏側に秘められた真実の物語を描く人間ドラマ。写真に登場する6名のうちの一人ジョン・ブラッドリーを父に持つジェイムズ・ブラッドリーの著わしたノンフィクション『硫黄島の星条旗』を基に、凄惨な硫黄島での戦いと、戦場を生き延び帰還した3名の若者が、自らの思いとは無関係に“勝利の象徴”として英雄に祭り上げられ、戸惑いや苦悩を深めていくその後の人生を静かに見つめていく。[父親たちの星条旗 - allcinema ONLINE]
近い作品としては「ミスティック・リバー(2003) 」、「ミリオンダラー・ベイビー (2004) 」
を監督したクリント・イーストウッド。この2作はあまりにも自分のツボすぎて、
だからこれに続く今作も観ないわけにはいかなかった。
事実とは何か?
ある事実は善にすることもできて、
悪にすることもできる。
モチーフは3人の兵士の葛藤と、硫黄島の戦場かもしれないけれど、
このテーマは星条旗だけには限られたことだけではなくて、
誰でもが抱えている身近な、あまりにも身近な問題だと思う。
たった1枚の写真でもいくらでも物語は作られていく。
とても複雑なプロットであるけれど、作品にすんなり入っていくことができた。
イーストウッドは悲しさややりきれなささえ、静かに描くことができる。
悲惨な戦争シーンでも、あとに残るものは陰鬱な思いだけではない。
アイラというネイティブアメリカンの役を演じた俳優の演技がよかった。
アイラもそうだし、その他の二人も人間的だと思う。
そして彼らを英雄にしたてあげようとした人も人間的だ、良くも悪くも。
私が観て育った戦争映画の多くは、どちらかが正義で、どちらかが悪だと描いていました。しかし、人生も戦争も、そういうものではないのです。クリント・イーストウッド
[クリント・イーストウッド監督<初>会見 - [映画]All About]
なんというか、この言葉の通り、じわじわ考えさせられる映画。
激しく感情が動かされるとか、涙が出るとかいう映画ではないが、観終わってから心に染み入る様に映画が自分の中に広がってゆき、感情が長く尾を引く。[ノラネコの呑んで観るシネマ 父親たちの星条旗・・・・・評価額1700円]
この方がこのように書いているけれど、
本当にそういう感じ。涙も出ないし、分かりやすい感動!、というわけではないけれど、
心の奥深いところに何か、波紋が広がるような感じだと思う。
2部作であるこの作品の2本目、「硫黄島からの手紙」も必ず観ようと思う。
「硫黄島からの手紙」の予告編を観て凄いなと思うのは、どっからどうみても、「日本映画」にしか見えないって事ですね。 過去にも、外国人監督が日本を舞台に日本人俳優で作った映画はありましたが、どこか異国情緒のような物が感じられました。 最近ではソクーロフの「太陽」などがそうですが、良い意味で外国映画である事で、新しい視点を獲得していました。 ところが、予告編だけではありますが、「硫黄島〜」は東映マークがついていても全く違和感が無い。 これは、実は今まで全く観た事の無いタイプの映画である事を意味します。 76歳にして、これだけのチャレンジ。 全く脱帽するしかありません。
先ほど引用した方がコメント欄で書いているけれど、
これは確かに言われてみるまで意識しないほど、
日本映画のようだった。。。
パールハーバーとかもそうだったけど、アメリカ側から見ると、
日本人でも中国人でも同じ、みたいな描き方がいつも非常に多いのに。。
それで、今作品と対比としてどのようなものが提示されるのか、
とても楽しみです。
しかし、この映画の感想のブログは多いなぁ。
なんだか評判になっているというのも本当かもしれないとちょっと思いました。
決して「売れる」映画ではないと思うのだけれど。
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Comment:2
- ノラネコ 2006-11-12 (日) 23:36
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こんばんは、
引用していただいたようで・・・
私は、この作品はやはり2本で一つのことを描いているとは思うんです。
映画単体としては、技法的にも内容的にもある意味で非常に常識的な作品なんですが、よくよく考えると、もの凄く実験的で非常識。
こんな映画は、いままで存在しなかったと言って良いと思います。
「硫黄島からの手紙」を観た後、自分の中に何が現れるのか、いまから楽しみです。
- banyan 2006-11-13 (月) 01:44
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コメント頂きましてありがとうございます。
ノラネコさんの見解はとても面白いですね、
ブログの内容はもちろん、コメント欄も含め。。今改めて思うと、僕は、3人の主人公達が淡々と、星条旗のフィーバーを経て、その後の生活を送るくだりなんかがすごいイーストウッドらしいというか、好きだなと思います。
あのあたりの人生の時間の流れ方、人生を俯瞰している態度、そういうのがいぶし銀のイーストウッドの渋さだと思います。
本当に2本で1つのことを描く、というのは考えてみればすごいですね。しかもどちらも悪や善、日本やアメリカにそれぞれが恨みや怒りを込めるというのではなく、透徹した人生に対する抗えなさ、というか。。
硫黄島からの手紙がどんな風になるのかまだ分かりませんが、また是非その節はTBさせて頂きます(笑)
どうぞ宜しくお願い致します。